今回の故障事例としては、エアコンを運転するとブレーカーがトリップすると言う事象を紹介したいと思います。
故障の経緯
故障の経緯としてはお客さんがエアコンを運転しようとしました。
すると数分後にブレーカーが落ちると言う現象が発生しました。
このブレーカーを見てみると、漏電マークが出ていたため、漏電によるトリップと言う結果でした。
漏電トリップの場合は、調査としては、絶縁抵抗測定計を使用して空調機の絶縁を測ると言うやり方になります。
調査の時間短縮
絶縁抵抗測定は比較的時間がかかる作業になります。
そのためある程度目星をつけて調査すると時間短縮になります。
状況整理すると運転数分後に作動していたということでしたので、まずは送風運転にて確認をしてみます。
送風運転にてブレーカーがトリップしないようであれば、室内機側の方は大丈夫な可能性が高いかと思います。
次に冷房運転の時に少し時間を置いてから落ちると言う事は、圧縮機や室外ファンモーターが回ったタイミングでトリップしている可能性が高いです。
他の制御機器等の場合であればブレーカーを入れたタイミングや運転したタイミングでおそらく落ちているかと思います。
室外機での絶縁抵抗測定
それでは室外機側ということで、ある程度目処をつけたので、室外機の方を開けました。
室外機の方で一括測定を行うと、絶縁がほぼ0MΩに近いと言う状況でした。
絶縁には電圧によって規定値が決まっているので確認してみると良いかと思います。
400Vでは0.4MΩ以上
200Vでは0.2MΩ以上
100Vでは0.1MΩ以上
上の基準になります。
0MΩでしたので規定値外となります。
不良箇所の絞り方としては各種コネクターを外して一つ一つ測定するも言うやり方になりますが、今回の場合は圧縮機と室外ファンモーターが怪しいという目処を立てていました。
比較的可能性が高い物としては、室外ファンモーターが可能性としては高いのかなと思います。
雨などが、室外ファンモーターなどにあたると絶縁が悪くなってくるためです。
そこで室外ファンモーターのコネクターを外し絶縁を当たってみましたが、100MΩ以上と良好な結果でした。
そこで圧縮機のコネクタを外して測定してみると、0MΩの結果でした。
圧縮機を外した状態で絶縁を当たると回復していたため、圧縮機の不良と言う結果となりました。
まとめ
絶縁抵抗測定による漏電調査は比較的時間がかかります。
ある程度目星をつけて測定をしてみると良いかなと思います。
ただ、基板上などが湿気などで絶縁が悪くなっている可能性も高いので、その辺には注意が必要です。
圧縮機や室外ファンモーターなどでは応急処置できませんが、基板などが湿気などにより絶縁が悪くなっている場合などはドライヤーなどを基板上に当てると湿気が蒸発して絶縁が良くなる事があります。
この場合は基板上のハンダなどを溶かさないように比較的離した位置から当てると良いかと思います。
また、予防としては電装部に当たらないようにシリカゲルなどを置いておくと良いのかなと思います。
シリカゲルも湿気を吸ってしまうと効果がなくなるため、定期的に交換する必要が出てきます。
また大型のモーターなどであれば、運転できるのであれば一度運転を行うとモーターの熱で湿気が飛び絶縁が回復することもあります。
これらの知識を持っておくと絶縁が悪かった際に運転したいと言う場合でも応急運転できる可能性があるので覚えておくと良いのかなと思います。